ブレーカーが上がらない!原因とすぐできる安全な対処法を解説

ブレーカーが落ち、突然家中の電気が消えてしまうと不安や焦りを感じるものです。薄暗い部屋で、どこに原因があるのか分からず、どうすればいいのかと途方に暮れてしまう方も少なくありません。

ブレーカーは、家やそこに住む人々の安全を守るための重要な安全装置です。そして、多くのトラブルは適切な手順を踏めば、ご自身で復旧させることができます。

この記事では、ブレーカーが上がらない原因や落ちているブレーカーの種類別対処法、プロに依頼すべき症状の判断について詳しく解説します。

この記事を参考にして、冷静、かつ安全に問題を解決していきましょう。

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まずは現状把握!ブレーカーの種類と役割

まずは現状把握!ブレーカーの種類と役割

ブレーカーのトラブルに適切に対処するためには、まずご家庭の分電盤にあるブレーカーの役割を理解することが不可欠です。

電気は電柱からご家庭の分電盤へと流れ込み、3つのブレーカーを経由して各部屋や家電製品に供給されます。

  • アンペアブレーカー
  • 漏電ブレーカー
  • 安全ブレーカー

これら3種類のブレーカーは、それぞれ異なる役割と作動原理を持っており、落ちているブレーカーによって原因と対処法が全く異なります。

まずは分電盤を確認し、どのブレーカーが「切」になっているのかを冷静に判断することが、問題解決の第一歩となります。

アンペアブレーカー(サービスブレーカー/契約ブレーカー)

電力会社との契約に基づき、建物全体で使用できる電気の総量を管理するブレーカーです。

設定された契約アンペア数を超える電気が一度に流れると、家全体の電気を遮断し、建物全体の停電を引き起こします。これは、電気の使いすぎ(過電流)によるもので、電力会社によってはスマートメーターがこの役割を担うこともあります。

漏電ブレーカー(漏電遮断器)

感電事故や火災を未然に防ぐ、重要な安全装置です。配線の劣化や家電製品の故障などにより、電気が本来のルート(電路)から漏れ出す「漏電」を検知すると、建物全体の電気を遮断します。

漏電ブレーカーは、電流の入口と出口の差分を計測する「零相変流器」という仕組みで漏電を検知しています。この差分が一定値を超えると瞬時に回路を遮断し、人体や財産を保護します。

漏電とは?ブレーカーが落ちた時の原因と対処法、自分でできる確認方法から修理費用まで専門家が解説!

安全ブレーカー(子ブレーカー/分岐ブレーカー)

キッチンやリビング、寝室など、家の中の各部屋や回路ごとに電気を管理するブレーカーです。

特定の場所で許容された電流量(一般的には15A、1500W)を超えて電気を使用したり、ショートが発生したりすると、その回路の電気だけを遮断します。これにより、家の一部分だけが停電する状態になります。

各ブレーカーが落ちる原因

以下の表は、各ブレーカーの役割と、それに伴う原因や影響範囲をまとめたものです。

種類 主な役割 落ちる主な原因 影響範囲
アンペアブレーカー 建物全体の電気使用量を管理 契約アンペア数を超える電気の使いすぎ(過電流) 家全体
漏電ブレーカー 漏電による感電・火災を防止 配線や電化製品の故障による漏電 家全体
安全ブレーカー 各部屋・回路の電気使用量を管理 特定回路での電気の使いすぎやショート(短絡) 落ちた回路に接続された部屋や場所

ブレーカーが上がらない時の原因別対処法

ブレーカーが上がらない時の原因別対処法

ブレーカーが落ちた原因は、ブレーカーの種類を見れば特定できます。ここからは、原因別に具体的な対処法を解説します。

ご自身で対応できるケースと、専門家を呼ぶべき危険なケースを明確に区別し、安全を最優先に行動しましょう。

アンペアブレーカーが落ちて上がらない

アンペアブレーカーが落ちる原因のほとんどは、電気の使いすぎ(過負荷)です。

特に、消費電力の大きい家電製品(電子レンジ、ドライヤー、エアコンなど)を同時に使用した際に、契約アンペアの上限を超えてしまうことで発生します。

過電流とは、回路の許容値以上の電流が流れてしまう現象のことで、過負荷の他に、短絡(ショート)によっても引き起こされます。過電流が流れ続けるとケーブルが発熱し、被覆が溶けてしまう危険性もあるため注意が必要です。

この場合の復旧は比較的簡単で、ご自身で安全に行うことが可能です。

正しい復旧手順

  1. 直前に使用していた家電の電源を切る
  2. コンセントからプラグを抜いておきます
  3. アンペアブレーカーのつまみを「入」にする
  4. 電気がつくか確認する
    電気が正常についたら復旧完了です。
  5. 家電を一つずつ電源を入れ、問題なく動作するか確認します。

なお、スマートメーターを設置しているご家庭では、停電状態が10秒程度続いた後、自動的に電気が復旧することがあります。ただし、短時間で複数回ブレーカーが落ちるとロックがかかり、自動復旧できなくなるため、その際は電力会社に連絡が必要です。

漏電ブレーカーが落ち上がらない

漏電ブレーカーが落ちる原因は、配線の劣化や機器の故障による「漏電」です。漏電は感電や火災に直結する危険な状態であり、むやみに復旧を試みるのは厳禁です。

しかし、どの回路で漏電が起きているのかを特定する応急処置は、安全に手順を踏めばご自身でも可能です。この手順は、問題の回路を特定し、そこだけを切り離して、他の回路の電気を復旧させるためのものです。

漏電箇所を特定する手順

  1. すべての安全ブレーカーを「切」にする
  2. 漏電ブレーカーを「入」にする
    この時点ではまだ電気がついていません。
  3. 安全ブレーカーを一つずつ「入」にしていく
  4. 再び漏電ブレーカーが落ちる箇所を特定
    どこかの安全ブレーカーを「入」にした瞬間に、再び漏電ブレーカーが落ちた場合、その安全ブレーカーが管轄する回路で漏電が発生していると考えられます。
  5. 漏電箇所を切り離す
    漏電していることが分かった安全ブレーカーだけを「切」の状態に戻します。他の安全ブレーカーは「入」の状態のままにしておけば、漏電箇所以外の電気は復旧します。

漏電箇所が特定できたとしても、その原因をご自身で修理することはできません。火花や煙が出ている場合は特に危険なため、速やかに電気工事業者へ連絡し、点検・修理を依頼しましょう。

地域全体の停電

ブレーカーが「上がらない」というよりは、「ブレーカーが落ちていないのに電気がつかない」という状況ですが、これもよくあるケースです。

まず分電盤を確認し、すべてのブレーカーが「入」になっている場合は、自宅に原因はありません。窓から外を見て、近所の家や街灯も消えているようであれば、地域全体で停電が起きている可能性が高いです。

このような場合は、電力会社のウェブサイトで停電情報を確認するか、直接連絡して復旧の見込みを問い合わせましょう。電力会社は、供給設備に異常がないかの確認を無料で実施している場合があります。

このような状況で、すぐに電気工事会社に電話をしてしまうと、不必要な出張費用が発生する可能性があります。

ブレーカーが落ちるのを未然に防ぐための予防策

ブレーカーが落ちるのを未然に防ぐための予防策

一時的なブレーカーの復旧はできても頻繁に落ちてしまう状態が続くのは、根本的な原因が解決されていない証拠です。

ここでは、日常生活で実践できる、ブレーカーが落ちるのを未然に防ぐための具体的な予防策を解説します。

消費電力の大きい家電製品の同時使用を避ける

以下の家電製品は、特に消費電力が大きく、同時に使用するとアンペアブレーカーや安全ブレーカーが落ちる原因となります。

  • 電子レンジ
  • 食器洗い乾燥機
  • ドライヤー
  • 洗濯乾燥機
  • エアコン

これらの家電は使用するタイミングをずらすなど、工夫して電力を分散させることが大切です。

使用する回路(コンセント)を見直す

一つのコンセントや回路に複数の家電を集中させて使用すると、安全ブレーカーが落ちる可能性が高くなります。

特に消費電力の大きい家電は、異なる回路のコンセントを使用するなど、家電の配置を見直してみましょう。

タコ足配線をしない

複数の機器を一つのコンセントに接続するタコ足配線は、加熱やショートの原因となり、火災のリスクを高めます。

プラグの周りにホコリが溜まると、湿気と結びついて発熱・発火する「トラッキング現象」も発生しやすくなります。日頃からコンセント周りをこまめに掃除し、タコ足配線は避けるようにしましょう。

アース線を適切に取り付ける

洗濯機や食器洗い乾燥機、冷蔵庫などの家電にはアース線が付いています。アース線は、万が一漏電が発生した際に電気を地面に逃がす役割を担い、感電や火災を防ぎます。

アース線が適切に取り付けられていなかったり、古くなって傷ついたりしていると漏電の原因となるため、正しく設置されているか確認しましょう。

契約アンペアを上げる

電気の使いすぎで頻繁にブレーカーが落ちる場合、ご家庭の電気使用量に対して契約アンペア数が不足している可能性があります。

契約アンペアを増やすことで、同時に使用できる家電の量が増え、ブレーカーが落ちる頻度を大幅に減らすことができます。電力会社への申し込みとブレーカーの交換工事が必要になりますが、根本的な解決策となります。

必要なアンペア数は以下の表を参考にしてください。

世帯人数 契約アンペア数の目安 消費電力の高い家電例
1人暮らし 20〜30A 電子レンジ、ドライヤー、エアコンなど
2人世帯 30〜40A IHクッキングヒーター、食器洗い乾燥機など
3人以上世帯 40〜50A IHクッキングヒーター、食器洗い乾燥機、洗濯乾燥機など

ブレーカーは消耗品!寿命と交換のサイン

ブレーカーは消耗品!寿命と交換のサイン

ブレーカーは、私たちの暮らしの安全を守るために毎日休まず働いています。しかし、家電製品と同様に、ブレーカーにも寿命があることをご存知でしょうか。

適切な時期に点検・交換を行うことが、予期せぬトラブルを未然に防ぐ上で重要です。

ブレーカーにも寿命がある

一般的に、ブレーカーの寿命は13年から15年程度とされています。

長年使い続けると内部の部品が劣化し、電気の流れを遮断する機能が衰えたり、誤作動を起こしたりする可能性が高まります。特に、ブレーカーが製造されてから長い年月が経っている場合や、何度も頻繁に落ちている場合は、寿命が来ている可能性を疑うべきでしょう。

交換を検討すべき5つのサイン

以下のサインが見られたら、ブレーカーの寿命や故障が疑われます。

ご自身での復旧を試みる前に、プロの点検を検討してください。

  1. 頻繁にブレーカーが落ちる
    電気の使いすぎや漏電の心当たりがないのに、ブレーカーが頻繁に落ちる場合は注意が必要です。
  2. ブレーカーが上がらない
    何度も復旧を試みても、すぐに「切」に戻ってしまう場合は、ブレーカー自体の故障が考えられます。
  3. ブレーカーから異音や異臭がする
    焦げたような匂いがしたり、不自然な「ジー」「カチカチ」といった音がしたりする場合は、内部で異常が発生している可能性が高いです。
  4. ブレーカーが熱を持っている
    ブレーカーの表面が異常に熱いと感じる場合も、何らかのトラブルのサインかもしれません。
  5. コンセントや配線から火花や煙が出る
    非常に危険な状態であり、すぐに使用を中止し、電源を切って専門家に連絡してください。

漏電ブレーカーのテストボタンで簡単セルフチェック

漏電ブレーカーには、正常に作動するかを確認するための「テストボタン」が付いていることがほとんどです。このボタンを押すと、ブレーカーが自動的に「切」になり、電気が遮断される仕組みになっています。

もしボタンを押してもブレーカーが落ちない場合は、故障している可能性が高いため、専門家による点検が必要です。定期的にテストを行い、いざという時に備えましょう。

プロの電気工事店に相談すべき症状と費用目安

プロに相談すべき症状と費用目安

ブレーカーのトラブルは、ご自身で対処できる範囲とプロに任せるべき危険な範囲が分かれています。

迷わず専門家を頼るべき状況と、安心して相談するために知っておきたい費用や業者選びのポイントを解説します。

相談すべき症状の判断基準

以下のいずれかに該当する場合は、ご自身での対処を中断し速やかに専門家にご相談ください。

  • ブレーカーを上げてもすぐに落ちてしまう
  • 漏電ブレーカーが落ちたまま上がらない
  • コンセントや配線から火花や煙が出ている
  • ブレーカーが頻繁に、原因不明で落ちる
  • ブレーカーが熱を持っている、異音や異臭がする

特に漏電の可能性がある場合は、火災や感電のリスクが極めて高いため、緊急の対応が必要です。

相談前に知っておきたい!修理・交換の費用相場

電気工事は、作業内容や使用する部材によって費用が変動します。

専門家への依頼を検討する際には、おおよその費用相場を把握しておくことで、より安心してサービスを依頼できます。以下の表は、一般的な修理・交換費用の目安です。

サービス内容 費用相場 備考
漏電調査・修理 5,500円〜 原因箇所の特定と応急処置
安全ブレーカー交換 10,000円〜15,000円 部材費、工事費、出張費を含む
住宅用漏電ブレーカー交換 25,000円〜40,000円 部材費、工事費、出張費を含む
分電盤全体の交換 50,000円〜150,000円 規模や部材によって変動

費用は業者や地域、工事内容によって異なります。正確な費用を知るためには、必ず現地調査を依頼し、複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」を行うことを推奨します。

信頼できる電気工事会社を見極めるチェックリスト

安心して電気工事を任せるには、信頼できる業者を選ぶことが重要です。

以下のチェックリストを参考に、慎重に業者を選定しましょう。

チェック項目 確認すべきポイント
有資格者が在籍しているか 電気工事には国家資格が必要です。資格を持たない業者による工事は違法であり、危険を伴います。
十分な実績と良い評判があるか 設立年や施工実績、口コミサイトやSNSでの評判を確認しましょう。実績が豊富で評判の良い業者は信頼できます。
事前に現地調査をしてくれるか 正確な見積もりには現地調査が不可欠です。現地を見ずに概算を提示する業者には注意が必要です。
見積もり内容が明確か 「工事一式」といった曖昧な見積もりではなく、内訳が詳細に記載されているか確認しましょう。これにより、不要な費用が含まれていないか判断できます。
保証やアフターサービスは充実しているか 施工後の不具合に対する保証や、定期点検などのサービスが提供されているかを確認しましょう。万が一のトラブルに備えることが大切です。

Googleの高評価クチコミを元に大阪市信頼できる電気工事店

まとめ

ブレーカーのトラブルは、多くの場合、落ち着いて原因を特定し、適切な手順を踏むことで解決できます。

しかし、その根底には、感電や火災を防ぐための重要な安全装置であるブレーカーの存在があります。特に、漏電の可能性がある場合は、ご自身の安全を第一に考え、迷わず専門家を頼ることが賢明です。

ブレーカーが上がらない、頻繁に落ちる、原因が分からないといったお困りごとがございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。迅速かつ丁寧な対応で、お客様の暮らしに安心をお届けします。

よくある質問

契約アンペア数の変更はどこに頼めばいい?

契約アンペア数を変更したい場合は、現在契約している電力会社に直接連絡しましょう。申し込み後、ブレーカーの交換工事が必要となる場合がほとんどです。

なお、契約アンペア数を変更すると、それに伴って電気の基本料金も変わりますので、事前に確認しておくことをお勧めします。

ブレーカーが熱くなっている、変な音がするけど大丈夫?

ブレーカーが異常に熱を持っていたり、「ジー」「カチカチ」といった不自然な音がしたりする場合は、故障や内部の異常のサインです。

この状態を放置すると、火災などの重大な事故につながる可能性があり非常に危険です。ご自身で触らず、すぐに最寄りの電気工事会社に相談して点検を依頼しましょう。

落雷が原因でブレーカーが落ちることはありますか?

あります。落雷により過剰な電圧がかかった際、家全体の配線を保護するためにブレーカーが作動することがあります。

これはブレーカーが安全装置として正常に機能した結果ですので、心配はいりません。ブレーカーを上げ直すだけで復旧することがほとんどですが、頻繁に落雷でブレーカーが落ちる場合は、専門家にご相談いただくことをお勧めします。