漏電ブレーカーだけが落ちるのは危険信号?原因特定から業者選び、費用までどこよりも分かりやすく解説!
「特に電気を使いすぎたわけでもないのに、突然家中の電気が消えた…。」分電盤を確認すると、たくさんあるスイッチの中で「漏電」と書かれたブレーカーだけが落ちている。こんな経験はありませんか?
実はこれ、電気の使いすぎとは全く違う、感電や火災につながる可能性を知らせる重要な危険信号なのです。
この記事では、突然のトラブルに直面し、不安を感じているあなたのために漏電ブレーカーが落ちる本当の意味から、ご自身で安全にできる原因特定のステップ、そしてプロに依頼すべきケースの見極め方や費用の相場まで、どこよりも分かりやすく徹底的に解説します。
この記事のポイントは?
漏電ブレーカーだけが落ちるのは危険のサイン?

漏電ブレーカーが落ちるのは、「電気の使いすぎ」が原因ではありません。それは「漏電」という危険な状態を検知した証拠です。
この違いを理解するために、ご家庭の分電盤にある3種類のブレーカーの役割を知ることから始めましょう。
漏電ブレーカー:感電や火災を防ぐ
中央付近にあり、「テストボタン」が付いているのが漏電ブレーカーです。このブレーカーの役割はただ一つ、「電気が本来のルートから漏れ出している(漏電している)状態」を検知して、電気を遮断することです。
漏電は、機器の故障や配線の劣化によって発生し、人が触れれば感電、放置すれば火災の原因となる極めて危険な状態です。漏電ブレーカーが作動したということは、この重大な事故を未然に防ぐための安全装置が正しく機能した証拠なのです。
アンペアブレーカー:家全体の電気使用量を管理する大元
分電盤の一番左側(または一番大きいスイッチ)にあるのがアンペアブレーカーです。これは契約アンペア数に基づいており、家全体で同時に使用する電気の量が契約を超えた場合に作動します。
エアコン、電子レンジ、ドライヤーなどを同時に使って落ちるのは、主にこのブレーカーです。つまり、これは「電気の使いすぎ」を知らせるための装置と言えます。
安全ブレーカー:部屋ごとの回路を守るスイッチ
アンペアブレーカーの右側に複数並んでいる小さなスイッチが安全ブレーカーです。各スイッチは、キッチン、リビング、寝室など特定の部屋やコンセント回路につながっています。
その回路で許容量を超える電気が使われたり、接続した家電がショートしたりした場合に該当する回路だけを遮断します。家の一部分だけが停電した場合は、このブレーカーが落ちている可能性が高いです。
焦らず安全に!漏電箇所を特定する6ステップのチェック手順

漏電ブレーカーが落ちた際、パニックになる必要はありません。これから紹介する手順に従えば、安全に原因となっている回路を特定し、応急処置として他の部屋の電気を復旧させることが可能です。
作業を始める前に手が乾いていることを確認し、足元が濡れていない安全な場所で行ってください。
1:全てのブレーカーを「切」にする
まず、身の安全を確保するため、分電盤にある全てのブレーカーを「OFF(切)」の状態にします。順番としては、
- 一番右側にある安全ブレーカーを全て下に下げます
- 中央の漏電ブレーカーを下に下げます
- 左側のアンペアブレーカーを下に下げます
これにより、家全体の電気が完全に遮断され、安全に作業を開始できます。
2:主要なブレーカーを「入」にする
次に、アンペアブレーカーを上げ、続いて漏電ブレーカーを上げてください。
この段階で、もし漏電ブレーカーが再び「バチン」と落ちてしまう場合は、漏電ブレーカー自体の故障か、家全体にわたる深刻な漏電の可能性があります。
この場合は、ただちに作業を中止し、専門の電気工事業者に連絡してください。
3:安全ブレーカーを一つずつ「入」にする
アンペアブレーカーと漏電ブレーカーが無事に入ったら、いよいよ原因となっている回路を特定する作業です。一番右側に並んでいる安全ブレーカーのスイッチを、一つずつ、少し時間を置きながら「ON」にしていきます。
この作業は、どの回路が問題を引き起こしているかを突き止めるための最も重要なステップです。
4:漏電ブレーカーが落ちた回路を特定する
安全ブレーカーを一つずつ上げていく過程で、あるスイッチを上げた瞬間に、再び漏電ブレーカーが落ちることがあります。その「直前に上げた安全ブレーカー」が、漏電している回路です。
これで、家のどこで問題が起きているのかを絞り込むことができました。
5:応急処置
原因の回路が特定できたら、その回路の安全ブレーカーは「OFF」のままにしておきます。
その後、漏電ブレーカーと、問題のない他の安全ブレーカーを全て「ON」にすることで漏電している回路以外の電気を安全に復旧させることができます。
6:原因の切り分け
原因が「家電」なのか「配線」なのかを切り分けます。特定した回路のコンセントに接続されている家電製品のプラグを全て抜いてください。
その状態で、再度その回路の安全ブレーカーを「ON」にしてみます。もしブレーカーが落ちなければ、抜いた家電のどれかが原因です。
一つずつプラグを差し直していき、ブレーカーが落ちた時に接続したものが原因の製品です。
もし、全てのプラグを抜いてもブレーカーが落ちる場合は、コンセントや壁の中の配線に問題がある可能性が非常に高いです。
なぜ漏電は起きるのか?考えられる7つの原因

漏電は突然発生するように見えますが、その多くは時間をかけて静かに進行した問題が、何かのきっかけで表面化した結果です。ここでは、漏電を引き起こす主な7つの原因を解説します。
経年劣化(配線・電化製品)
壁の中を通る電気配線や長年使用している家電製品のコードは、年月と共に絶縁体(電気を覆うゴムや樹脂の部分)が硬化したり、ひび割れたりします。この劣化が限界に達した時、突然漏電が始まることがあります。
特に冷蔵庫や温水洗浄便座など、24時間稼働している製品は内部部品の劣化が進みやすく注意が必要です。
水濡れ・湿気
水は電気を通しやすい性質があるため、電気設備にとって大敵です。雨漏りや配管からの水漏れで配線やコンセントが濡れると簡単に漏電してしまいます。
また、キッチンや洗面所、エアコンの室外機など湿気が多い場所や雨風にさらされる屋外の設備も、内部が腐食したり絶縁性能が低下したりして漏電しやすい箇所です。
ホコリと湿気(トラッキング現象)
コンセントとプラグの隙間に溜まったホコリが湿気を吸うことで、電気の通り道となり発火に至る「トラッキング現象」は漏電の代表的な原因の一つです。冷蔵庫やテレビの裏など、普段掃除しにくい場所で発生しやすく、ある日突然、漏電ブレーカーが作動する引き金になります。
コードの物理的な損傷
家具の下敷きになったり、ドアに挟まれたり、強く折り曲げられたりして電源コードが損傷すると、内部の電線が露出して漏電の原因となります。見た目には小さな傷でも、内部で断線しかかっているケースも少なくありません。
塩害・害獣被害
沿岸地域では、潮風に含まれる塩分が屋外設備(エアコンの室外機など)に付着して金属部分を腐食させて漏電を引き起こすことがあります。また、ネズミなどの害獣が天井裏や壁の中の配線をかじってしまい、絶縁被覆を破壊することも漏電の原因となります。
漏電ブレーカー自体の故障
非常に稀ですが、漏電ブレーカーそのものが故障し、漏電していないのに誤作動で落ちてしまうケースもあります。分電盤に設置されている「テストボタン」を押してみて、正常にブレーカーが落ちるかを確認することで機械的な故障の有無をある程度判断できます。
雷サージによる誤作動
近くで落雷があると、電線などを通じて瞬間的に非常に大きな電圧(雷サージ)が家庭内に流れ込むことがあります。この異常な電圧を検知して、感度の高い漏電ブレーカーが誤作動でトリップすることがあります。
放置は絶対NG!漏電が引き起こす感電・火災の怖さ

漏電ブレーカーが落ちた後、「原因の回路を使わなければ大丈夫」と問題を先送りにするのは絶対にやめてください。漏電の放置は、命に関わる重大な事故につながる可能性があります。ここでは、その二大リスクである「感電」と「火災」の本当の怖さについて解説します。
感電のリスク
漏電している電気機器の金属部分などに人が触れると、電気が人体を通り抜けて地面に流れて感電します。電流の大きさによって人体への影響は大きく異なり、わずかな差が生死を分けます。
一般的な漏電ブレーカーが作動する感度電流は15~30mAです。
- 1mA(ミリアンペア): ピリッと感じる程度
- 5mA: 強い痛みを感じる
- 20mA: 筋肉が激しく硬直し、呼吸が困難になる
- 50mA: ごく短時間でも命に危険が及ぶ
- 100mA: 致命的な結果に至る可能性が極めて高い
15~30mAは、まさに人体が深刻なダメージを受け始めるレベルに設定されています。
つまり、ブレーカーが落ちたということは、あなたやご家族を感電事故から守るための「最後の安全装置」が正常に作動した証拠なのです。
見えない場所で静かに進行する火災のリスク
漏電による火災は、漏電箇所が発する熱が原因で起こります。漏れ出た電気が周囲の木材や壁の中の断熱材、溜まったホコリなどを長時間加熱し、炭化させて最終的に発火に至ります。
目に見えない壁の内部や天井裏で火災が進行するため発見が遅れやすく、気づいた時には大規模な火災に発展しているケースも少なくありません。特にトラッキング現象は、コンセント周りから直接出火するため非常に危険です。
DIYの限界はどこ?プロの電気工事業者を呼ぶべき判断基準

漏電トラブルでは、ご自身でできることと、専門家でなければ絶対に行ってはいけないことの線引きを明確に理解することが重要です。安全のため、そして法律を守るためにも、以下のケースに当てはまる場合は迷わずプロの電気工事業者に連絡してください。
原因が家電製品ではない場合
原因と思われる回路のコンセントから全ての家電を抜いてもブレーカーが落ちる場合、原因は壁の中の配線やコンセント自体にある可能性が濃厚です。これらの修理は「電気工事士」の資格が必須です。
安全ブレーカーを上げる前に漏電ブレーカーが落ちる場合
上記ステップ2の段階で漏電ブレーカーが落ちる場合、分電盤自体や幹線(メインの配線)に問題があると考えられます。これは非常に危険な状態で専門家による診断が不可欠です。
焦げ臭い匂いや、コンセント・分電盤に変色がある場合
焦げ臭い匂いやプラスチックが溶けたような跡は、内部で深刻な過熱が起きているサインです。火災直前の危険な状態ですので、絶対に触らず、すぐに業者に連絡してください。
ブレーカーのテストボタンが機能しない、または古い場合
テストボタンを押してもブレーカーが落ちない場合は、漏電ブレーカー自体が故障しています。ブレーカーの寿命は一般的に10~15年程度と言われており、古いものは交換が必要です。
水濡れが原因だと思われる場合
雨漏りや水漏れが原因の場合、濡れている範囲が特定しにくく、感電のリスクが非常に高いです。そのため、ご自身での対処は絶対に避けてください。
自分で作業するのが不安な場合
少しでも「怖い」「自信がない」と感じた場合は無理をしないでください。電気のトラブルにおいて、安全は他の何よりも優先されます。
専門家に任せることが、最も確実で安全な選択です。
失敗しない業者選びと費用相場

専門業者に依頼すると決めた次に気になるのは、「どこに頼めばいいのか」「費用はいくらかかるのか」という点でしょう。ここでは、信頼できる業者の選び方のポイントと、漏電調査・修理にかかる費用の相場を分かりやすく解説します。
信頼できる電気工事業者の選び方4つのポイント
資格と実績を確認する
大前提として、作業員が「電気工事士」の国家資格を保有しているか確認しましょう。また、ウェブサイトなどで漏電修理の実績が豊富かどうかをチェックするのも有効です。
料金体系が明確で、必ず事前に見積もりを提示する
優良な業者は、作業前に必ず現場を確認し、料金の内訳が明記された見積書を提示してくれます。「作業してみないと分からない」と見積もりを曖昧にする業者には注意が必要です。
複数の業者から相見積もりを取る
可能であれば2~3社から見積もりを取り、料金や作業内容を比較検討しましょう。これにより地域の適正価格を把握でき、不当に高額な請求を避けることができます。
アフターサービスや保証内容を確認する
修理後の保証制度が整っているかも重要なポイントです。万が一、修理後に再びトラブルが発生した場合にどのような対応をしてくれるのかを事前に確認しておくと安心です。
漏電修理・調査に関する費用相場の目安
漏電修理の費用は、原因や作業内容によって大きく変動します。一般的に、「調査費用」と「修理作業費・部品代」で構成されています。以下の表は一般的な相場です。
| 作業内容 | 費用相場(税込) | 備考 |
|---|---|---|
| 漏電調査(原因特定) | 8,000円~20,000円 | 原因特定までの診断費用 建物の構造や回路の複雑さで変動 |
| 安全ブレーカー交換(1ヶ所) | 10,000円~15,000円 | |
| 漏電ブレーカー交換 | 20,000円~40,000円 | ブレーカー本体の価格とアンペア数により変動 |
| コンセント・スイッチ交換 | 8,000円~15,000円 | 1ヶ所あたりの費用 防水タイプなど特殊な製品は高くなる場合があります |
| 配線修理・部分交換 | 20,000円~ | 壁内など作業の難易度により大きく変動するため見積もりが必須 |
| 分電盤交換 | 45,000円~100,000円以上 | 回路数や盤の機能により変動する大規模な工事 |
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まとめ
この記事では、漏電ブレーカーだけが落ちる原因と、その対処法について詳しく解説してきました。最後に、最も重要なポイントを振り返ります。
- 「漏電ブレーカーだけが落ちる」のは、電気の使いすぎではなく、感電や火災の危険を知らせる重大なサイン
- 原因の回路特定までは自分でも安全に行えるが、配線や分電盤の修理は必ず資格を持つプロに依頼
- 漏電の放置は絶対にせず、速やかに専門家に相談する
突然の電気トラブルは不安なものですが、正しい知識があれば冷静に対処できます。もし原因が特定できない、あるいは修理が必要だと判断した場合は、無理をせず信頼できるプロの力を借りましょう。
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よくある質問
漏電している回路のブレーカーを落としたままにしておけば安全ですか?
あくまで一時的な応急処置であり、安全な状態ではありません。漏電の原因(壁内配線の損傷など)はそのまま残っているため、火災のリスクは依然として存在します。根本的な解決にはならないため、できるだけ早く専門家による修理を受けてください。
漏電ブレーカーのテストはどのくらいの頻度で行うべきですか?
多くのメーカーは、月に1回程度のテストを推奨しています。分電盤にあるテストボタンを押すだけで、漏電ブレーカーが正常に作動するかを確認できます。
テストを行うと一時的に家全体が停電しますので、パソコンなどのデータを保存してから、都合の良い時間帯に行ってください。
漏電の修理は火災保険の対象になりますか?
ご契約の火災保険の内容や、漏電の原因によって異なります。「不測かつ突発的な事故」による損害を補償するタイプの保険であれば、対象となる可能性があります。一度、ご自身の保険契約内容を確認するか、保険会社に問い合わせてみることをお勧めします。
